出版社・著者の動き

日本の出版社も動き始めた

2010年2月、講談社、小学館、新潮社などの大手を含む国内出版社21社が、一般社団法人「日本電子書籍出版社協会」(仮称)を発足させる動きを取りました。これは、アマゾンが日本語版キンドルを販売することを予想し、これに対抗するための動きとされています。

なぜ出版社同士が結束してアマゾン(Amazon)への対抗の動きを取るのでしょう?そもそも、出版社と著者にとって、電子書籍の普及はどういう意味があるのでしょうか?

これまでの数十年、本の世界は紙媒体(印刷物)が支配していました。著者は、著作物を世に広めたり、著作物を売って収入を得たいと思えば、印刷物を作り流通させる力を持つ出版社と組む必要がありました。大手出版社には販売力がありますから、著者への交渉力が高くなり、著者を囲い込むことができます。それによって、出版社は売上・利益をあげてきたわけです。


アマゾン(Amazon)、新しいビジネスモデルは出版社にとって脅威

では、アマゾンはどういう存在でしょう?アマゾンは大手ネット書店であり、書籍の購買意欲を持つ消費者への強力なネットワークを持っています。

これまでの紙媒体の本の場合、「著者(作品の制作)→出版社(印刷物の作成)→本屋/アマゾン(販売)」という流れのビジネスが行われていましたが、電子書籍ビジネスの場合、「著者(作品の制作)→アマゾン(販売)」という、出版社の中抜きが起こる可能性が出てきます。アマゾンのような大手出版社に負けない販売力を身に付けた企業が現れ、この出版社中抜きの可能性は現実のものとなってきました。

これまでの書籍(印刷物)

著者(作品の制作) → 出版社(印刷物の作製・流通) → 本屋/ネット書店(販売)

電子書籍

著者(作品の制作) → ネット書店(販売)


今後の出版社の動きは

電子書籍には印刷や製本といった作業は不要であり、実店舗への流通も必要ありません。出版社はこの現実に大変な脅威を感じているはずです。アマゾンがより高い印税を払う条件を著者に提示すれば、アマゾンとの直接契約を望む著者も当然出てくるでしょう。出版社は囲い込んでいた著者を失う脅威にさらされているのです。

日本の印刷会社結束の動きにはこのような背景があり、本をデジタル化する権利の確保のための法制面の調整、出版社同士の連携によるアマゾンへの対抗力の強化を行ってくると考えられます。

アマゾン、今後参入してくるアップルやグーグル、日本の大手出版社、これらのプレーヤーがどう動くかが日本の電子書籍市場の今後に大きく影響してくるでしょう。


 → 米国における普及状況

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